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フランチャイズビジネスにおいては多くのトラブルが発生します。

フランチャイズに関するトラブルを事前に認識しておくことで、

フランチャイズ起業を行なう前にリスクの大小を判断することが

できると思います。

ぜひ確認してみてください。

加盟希望者が加盟募集営業を受けている段階においては

それほど大きなトラブルは起きません。なぜなら加盟したく

なければ断ることができるからです。

しかし、この加盟募集の営業段階に、後に発生するトラブルが

内在している可能性が非常に高いと思われます。

例えば、本部の営業担当者がたいした説明もせず、加盟希望者が

たいした確認もせず、加盟してしまい、後に本部・加盟店の認識に

相違が発生した場合は、トラブルに発展します。

また、FC本部によっては加盟店募集を自社で行なわず、

業務委託等により、他社に営業活動を行なわせることも往々にして

あります。

一概には言えませんが、FC本部の営業担当者でない場合、本部の

フランチャイズシステムフランチャイズパッケージについて深い

理解ができておらず、説明不足に陥ることもありえます。

 

☆ 加盟募集を受ける際の注意点

① 納得行くまで説明を受ける

第三者を交えて説明を受けることも重要です。

加盟することによって発生するメリット・デメリット、あるいはリスクを

しっかり認識することが重要です。

② 本部から派遣された営業担当者が本部・所属なのか?

  業務委託を受けた別の会社の営業担当者なのか?を確認する

 ※ 『フランチャイズトラブル』の著者・金光氏は、営業担当者の所属を

   開示すべきとの意見を同書で述べています。

本部の営業担当者か、業務委託を受けた別会社の営業担当者か

といった情報を得ることは、加盟希望者がそのFC本部の情報収集を

行なう上で重要になります。

もし業務委託を受けた別会社の営業担当者から得られる情報では

足りないと判断すれば、本部の営業担当者や本部の加盟店募集の

責任者などと面談すべきです。
 

③ 執拗な営業活動を行なうFC本部には加盟しない

執拗な営業活動が行なわれるFC本部は、加盟金を目当てに

している、 営業ノルマが厳しいなどの内情が伺えますので、

加盟希望者がFCビジネスで大成できるかについてはあまり重視

していない可能性があります。このようなFC本部は注意すべきです。

FC加盟契約を締結する時点では、FC本部からさまざまな意思

決定を促す資料が提示されていると思います。

例えば、収支予測予想来店顧客数などが提示されるでしょう。

こういった資料を確認し、加盟希望者はFC本部へ加盟することに

なります。

  しかし、こういった資料が後々トラブルを引き起こすこともあります。

FC本部の収支予測に反して、一向に黒字化する見通しが立たないと

加盟店は、本部に対して「話が違う」となります。しかし、加盟店は

独立の事業者なので、収支予測に反して赤字が出たからといって、

すぐにFC本部へ責任を問うことはできません。

FC本部に責任を問うことができるのは、加盟契約締結段階において

法令に違反するような説明があった場合のみです。

 

☆ 法令違反の説明

・ 中小小売商業振興法に定める事項について説明しなかった場合

・ 契約の根幹をなす重要な事項について説明しなかった場合

 (独占禁止法)

・ 虚偽もしくは誇大な説明をした場合(独占禁止法)

・ 民法で定める詐欺行為、不法行為等に該当する場合

 

以上のように法令で明らかに定めがある場合しか、FC本部の責任を

問うことはできません。

 

情報提供義務違反に関する裁判例

詐欺又は詐欺的行為としてFC本部が違法とされた事例

 

契約締結の意思決定に重要な影響を及ぼす事実につき故意に

これを隠蔽して開示告知せず、却って虚偽の事実を真実であるかの

ように誇張して告知した。

(大阪地判昭和53.2.23)

 

FC本部が、客観的にみて多数の加盟店を事前の説明どおりに

運営していくだけの意思も能力もないのに、その意思があるかの

ように偽って説明を行なった。

(水戸地判平成7.2.21)

 

不法行為としてFC本部が違法とされた事例

 

FC本部は、フランチャイズシステムが行政法規に違反する可能性が

ある場合、当該事業の法適合性に関する問題点について十分

説明する必要があり、これについて何らの説明を行なうことなく、

かえって法令違反はない旨、強調して勧誘した場合に不法行為が

成立する。(東京地判平成11.10.27)

 

信義則上のFC本部の情報提供義務

 

FC加盟契約を締結するにあたり、FC本部は加盟店になろうと

する者に対して、FC加盟契約に関する意思決定のための判断

材料になる客観的かつ的確な情報を提供すべき義務を負っている。

FC本部と加盟店に経営能力や情報収集分析能力に格差があり、

専門知識を有するFC本部が加盟店を指導援助することが

予定されていることを理由として、FC加盟契約に関する意思決定に

際して客観的な判断材料になる情報提供義務がある。

    (東京高判平成11.10.28)


☆ まとめ

上記では、FC本部にFC加盟契約を締結する段階で義務が

あることに触れました。

一方で加盟希望者になんらの義務がないか、というとそうでは

ありません。フランチャイズシステムは、FC本部と加盟店は

それぞれ独立の事業体です。

加盟店も事業者ですから常に事業リスクは内在しています。

FC本部から一定水準以上の情報開示を受けた上で、意思決定を

した場合には、赤字は加盟店が負うべきだという判断になるという

ことを忘れてはならないと思います。

FC本部と加盟後も良好な関係を築くためにも、両者が必要な情報を

開示した上で、FC加盟契約を締結するのが望ましいでしょう。
 

FC加盟契約が締結されると、業種、契約形態などによって違いは

ありますが、基本的には加盟金や保証金などの支払い、店舗物件

の探索、開業(開店)準備、初期研修を経て、オープンという流れで

進んでいくと思います。そしてオープン後は所定の業務を行ない、

月々のロイヤリティの支払いが行なわれていきます。

ここで注意すべきは、加盟金や月々のロイヤリティが何に対して

支払われるか?という問題です。加盟金やロイヤリティは、FC本部

が提供する商標、トレードマーク、経営・販売のノウハウや本部が

行なうさまざまな支援に対する対価として加盟店が支払うものに

なります。

FC本部が提供するサービスやノウハウといったものに欠陥が

あったり、加盟店が支払う対価とミスマッチが生じるとトラブルに

発展する可能性が高まります。

加盟してからしばらくは満足いく、サービスがFC本部から提供されて

いたが、段々サービスの質が低下することもありえますので、加盟店

としては、常に本部が提供するサービスをチェックしておくことが

重要です。

 

営業秘密

FCビジネスは、FC本部が培ってきたノウハウ等を加盟店に販売する

ビジネスでもあります。ですからFCビジネスにおいて営業秘密は、

重要な位置付けとなります。FC本部は、そのFC加盟契約の中で

加盟店に守秘義務を課すことが当然にあります。

逆に守秘義務条項がないFC加盟契約を締結しようとする本部へは

加盟しない方が良いかもしれません。もしかするとFCビジネスを理解

していないFC本部かもしれません。

この営業秘密がFC本部や加盟店から流出してしまい、広く世に

開示された場合、加盟金ロイヤリティを支払う価値があるのか?

となりトラブルに発展する可能性もあります。また、加盟店からの

漏洩となれば、損害賠償問題などのトラブルに発展する可能性が

高くなります。

 

初期研修

フランチャイズシステムにおいて初期研修(開業前研修)は、

FC本部においても加盟店においても重要な意味があります。

フランチャイズシステムは、一般に経験のない人でも一定の研修を

受講することで、短期間で店舗を運営することができるようにならな

ければなりません。

ですからFC本部が開業前に行なう初期研修には大きな意味が

あります。研修のかかる費用は、加盟時に支払う加盟金とは別に

加盟店がFC本部に支払うケースもあります。

この場合、FC加盟契約書に金額や支払い方法、支払い時期が

明確にされている必要があります。これが明確でないと加盟後、

トラブルになるでしょう。

 

研修自体をめぐってトラブルになる可能性もあります。加盟前の説明と

内容が違う、研修を受けてみたが思っていたものと違い、支払った

対価と見合わないなど、といったトラブルが考えられます。

やはり加盟契約締結前に、できる限り初期研修の内容、座学なのか?

実務研修なのか?座学と実務研修の両方なのか?期間は?

初期研修中に金銭の支給はあるのか?などを明確にしておくことが

必要です。

不幸にも契約の途中でFC加盟契約解約することもありえます。

この場合でもさまざまなトラブルが考えられます。

そもそも本部と加盟店の間でトラブルがあった末の中途解約

場合などは解約に際しても更なるトラブルが起こる可能性があります。

解約には、双方当事者の合意による合意解約と一方当事者による

解約があります。

合意解約については双方が合意して解約するので、トラブルが解決

された上での解約なので、その後大きなトラブルに発展することは

あまりないと思います。

問題なのは、一方当事者からの解約です。

一方当事者の解約の引き金になるのは、

 

加盟店のロイヤリティ不払い

FC本部と加盟店の信頼関係等の破壊、

FC本部・加盟店の契約違反

競業避止義務違反

 

などが多いでしょう。


違約金規定(損害賠償の予定)

FC加盟契約の中途解約の項目の中で特徴的なのは、違約金規定

が定められることが多いという点です。

違約金の意味するところとしては、ノウハウや情報を得ることのみを

目的として加盟してくる者を排除するために定められています。

このこと自体は、フランチャイズビジネスの特徴として否定できる

ものではありません。 しかし、いざ中途解約することになった場合、

非常に大きなハードルになってしまうこともまた現実問題として

あります。

では違約金規定損害賠償の予定は違法なのでしょうか?

 

ほっかほっか亭大阪事業本部事件(大阪地判昭和61.10.8)

損害額の予定について承知した上で、原告に強制されることもなく、

自主的な判断によって本契約の締結に至ったものと考えられること

から損害額の予定を暴利行為や公序良俗に違反するものとはいい

難いとして損害賠償額の予定が有効であると判断しました。

 

本家かまどや事件(神戸地判平成4.7.20)

裁判所は、60か月分の実施料(300万円)の損害賠償額の予定を

過大であると判断し、30か月分の実施料(150万円)が妥当である

とし、60ヶ月のうち30ヶ月を無効、30ヶ月を有効としました

 

ニコマート事件(東京地判平成6.1.12)

裁判所は、120ヶ月分のロイヤリティの損害賠償額の予定を過大

であると判断し、30ヶ月分のロイヤリティが妥当であると判断しました。


裁判例を見ていくと、あまりに過大な損害賠償の予定(違約金)は

否定さますが、違約金規定や損害賠償の予定自体を否定している

わけではありません。

一定の額の範囲であれば認められるということを加盟する側は、

しっかり認識しておかなくてはなりません。

いざというとき違約金や損害賠償を支払わなければ、解約することが

できない可能性が高いのです。

 

FC加盟契約が終了した場合であっても加盟店に対して一定期間

有効に存続する義務があります。

秘密保持義務競業避止義務です。この義務は、契約満了や

終了によって加盟店でなくなった場合も一定期間有効です。

この2つの義務もフランチャイズビジネスの特徴ですが、FC本部は

ノウハウや営業秘密を保護していかなくてはなりません。ノウハウや

営業秘密自体が1つの商品だからです。

これらを守るためにFC加盟契約書では、加盟店にさまざまな義務を

課しています。その一つが加盟契約終了後の秘密保持義務

競業避止義務の継続です。

 

一定期間とは、どの程度か?

秘密保持義務については、一概には言えない部分はありますが、

FC本部が持つノウハウや営業秘密などが秘密として保護するに

値しなくなった時という考え方があります。つまり他のFC本部、

あるいは事業者が同じようなノウハウを開発した場合などです。

このような状態にあってまで、秘密保持義務を契約終了者のみに

課すのは意味がありません。

 

競業避止義務については、憲法第22条で認められる営業の自由

(職業選択の自由)との兼ね合いもあります。現在は、概ね2年から

3年以内の義務であれば合法と判断されます。

もし、FC本部に加盟するが、ゆくゆくは自分独自のお店をやりたい

などと考えている方は、加盟契約終了後、すぐに同じ業種で開業して

しまうとトラブルになってしまう恐れがありますので、注意が必要です。

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