最近、景気の悪化を受けて「ワークシェアリング」という言葉を耳にする機会が増えました。
私が大学生で就職活動をしていた10年ほど前も不景気の嵐が吹き荒れ、中高年はリストラ
され、新卒の採用はあまりなくという時期でした。
この頃も今のようにワークシェアリングという言葉を良く耳にしていました。
昨今の経済状況により製造業などを中心に、ワークシェアリングを導入して仕事を分かち合い
雇用を確保していこうという流れ官民、あるいは労使の中で生まれてきていると感じます。
今後は、業種として製造業だけでなく、サービス業にもワークシェアリング導入の流れができて
くるかもしれませんし、ホワイトカラー(あまりいい表現ではありませんが)と言われる職種にも
導入の流れができるかもしれません。
しかし、サービス業やホワイトカラーの職種でワークシェアリングを導入するのに大きなハードルが
あるように思えてなりません。
製造業であれば、行なう仕事(作業)の工程が明確になっていてビギナー工員・中堅工員・熟練工
といったカテゴリーが明確になり、これらの工員をうまく配置したり、時間配分を行なったりして仕事を
シェアしていくことは比較的難しくはないのではないかと思います。
サービス業やホワイトカラー職種では業務を明確にし、更にビギナー・中堅・熟練といったカテゴリー
分けするのは困難を極めるのではないかと思います。
1つ1つの業務の標準化を行ない、標準処理時間等を把握している企業はまだまだ少ないのでは
ないかと思います。
しかし、この標準化や標準処理時間の把握がない中で、ワークシェアリングを行なってしまうと
非効率な人事配置であったり、逆にワークシェアすること自体に弊害がもたらされてしまうような
気がしてなりません。
ワークシェアリングを導入したことが返って企業の競争力や成長力を阻害し、企業の衰退をもたらし
そもそも働く場を失わせてしまう結果になっては本末転倒です。
ワークシェアリングという言葉が独り歩きしないよう、雇用を守もるという目的はもちろん、その中身に
ついてもしっかり見極めていきたいと思います。