今日、知人より債権回収について相談がありました。
知人が勤める会社の大口取引先に倒産の兆候があるとのことでした。
会社の取引の半分程度を占める会社だそうで、債権を回収できないと
かなり厳しいということです。
倒産といってもパターンがいろいろあります。
まずは私的整理と法的整理という区分があります。
私的整理は会社が裁判所を通さず私的に債務を処理して行く方法で、
法的整理は裁判所を通じて処理して行く方法です。
さらに法的整理はいくつかに分類できます。
破産は一般的に倒産と認知されているもので、残された財産を債権者に
分配して会社を解散するものです。この場合は裁判所が選任する破産
管財人が処理して行きます。
会社更正は、会社を更正しながら債務者として負担すべき債務を支払い、
最終的に会社を再生していきます。
会社更正の場合は、現経営陣は退陣し、専門家や弁護士主導で更正して
いく形です。
民事再生は、会社更正と同様会社を再生するために裁判所が選任する
弁護士などが債務の整理や再生計画の立案などを行ないます。
民事再生の場合は、現経営陣は残り、会社再生のため陣頭指揮をとって
いきます。
その他にも特別清算といった法的整理もあります。
私的整理であっても法的整理であっても債権者が債権を全て回収できる
保証はありません。むしろ債権者が泣くことがほとんどです。
しかしながら早い段階で打てる手を打っておかなければ、連鎖倒産など
最悪の結果を招く恐れがあります。
今回、知人の会社と取引先の状況を聞くと、
①債権債務を相殺する
②商品を留置する(留置権の行使)
③各契約関係の連帯保証人に対する権利行使
④担保設定
⑤仮差押
⑥債権譲渡
あたりが債権回収として取り得る手段です。
取り急ぎ債権債務の相殺についてが現状最も容易な手段ではないかと
思います。
債権債務を相殺する場合は、内容証明郵便で相手方に通知するのが
一般的です。
行政書士として意思表示の内容証明郵便を作成することはできます。
しかしながら今回のような事案に関してはその後の展開によっては弁護士に
委ねる必要が出てくる可能性があります。
この場合、中途半端な形で私たちが関与してしまうことで債権回収に支障が
出てしまう恐れがあります。
知人の会社では付き合いのある弁護士がいるということでしたので、早い
段階で相談をしてより具体的な事前の準備や実際に取引先に動きがあった
時の対応を相談しておくことを勧めました。
今回のような事案は今後、増えて行くような気がします。
実際の業務としての支援はできなくとも最低限の知識と情報を持って、助言を
差し上げられるようにしたいと思います。